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2023年4月1日施行_デジタルマネーによる給与支払解禁

皆さまこんにちは。
倉地社労士事務所の森です。

前回に引き続き、今回も2023年4月1日に施行される法改正についてご案内いたします。
まず、2023年4月1日に施行される法改正のおさらいです。

1.労働基準法
 ①月60時間超の時間外労働の割増賃金率の引き上げ(前回の法改正・最新情報へ)
 ②デジタルマネーによる給与支払解禁
2.育児・介護休業法
 ①男性労働者の育児休業取得率等の公表の義務付け

本日ご案内する法改正は、上記1.-②「デジタルマネーによる給与支払解禁」についてです。

【法改正内容の概要】
労働基準法第24条では、賃金の支払いについて下記のように定めています。

賃金は原則
(1)通貨(現金)で
(2)直接労働者に
(3)全額を
(4)毎月1回以上
(5)一定の期日を定めて
支払わなければならない。

労働基準法施行規則第7条の2第1項において、使用者は、労働者の「同意を得た場合」には、
①当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み
②当該労働者が指定する金融商品取引業者に対する当該労働者の預り金への振込みによる賃金の支払い
が認められています。

今般①②に加え、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることから、労働者の同意を得た上で、資金移動業者の中で一定の要件を満たすものとして、厚生労働大臣の指定を受けた者(指定資金移動業者)のうち、当該労働者が指定する者の口座への賃金移動によって、賃金を支払うことができるようになります。

なお、この厚生労働大臣の指定は、改正省令の施行後です。厚生労働省のHPでは指定の申請受付は令和5年4月1日からで、厚生労働大臣の指定には数か月かかるとしています。そのため、令和5年4月解禁とは言いつつも、企業がそれを導入できるのは、早くても令和5年の後半になるとみられています。


【デジタルマネー払い導入の流れ】

①給与のデジタルマネー払いをするかどうかを決める
②規程変更、労使協定の締結等の体制整備
③労働者の同意を得る
④口座情報を収集する
⑤希望者に給与をデジタルマネーで支払う

給与のデジタルマネー払いにおいて、会社は「労働者の指定する」デジタルマネー口座に振り込む必要があります。
そのため、デジタルマネー業者の最終的な選定は労働者本人が行うことになります。

とはいえ、労働者が必ずしも厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者を指定してくるとは限りません。
そのため、会社は労働者の指定するデジタルマネー口座の業者が指定資金移動業者であるかどうかの確認をする必要があります。

いずれにしても、給与のデジタルマネー払いが実現する日は、もう少し先になりそうです。