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短時間労働者の社会保険適用拡大について

みなさまこんにちは。
倉地社労士事務所の森です。

2020年5月に「年金制度改正法」が成立しました。
この改正の目的は、より多くの人が、より長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るためとされています。

今回は、
2022年10月1日から施行される「短時間労働者の社会保険適用拡大」についてご案内します。
この改正については、すでに厚生労働省が社会保険適用拡大特設サイトを公開し、事業主向け、パート・アルバイト向けにお知らせをしています。
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/index.html

1.現行の短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用
令和4年10月1日から、特定適用事業所(※1)で働く短時間労働者(※2)が、一定の要件(※3)を満たすことで、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。

(※1)特定適用事業所とは
事業主が同一である一または二以上の適用事業所で、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が100人を超える事業所

(※2)短時間労働者とは
特定適用事業所に勤務する方で、通常の労働者の1週間の所定労働時間または、1月の所定労働日数が4分の3未満である方で、以下の①~④のすべてに該当する方が対象です。

(※3)一定の要件とは
 ①週の所定労働時間が20時間以上であること
 ②雇用期間が2ヶ月以上見込まれること
 ③賃金の月額が8.8万円以上(※4)であること
 ④学生でないこと(※5)

(※4)8.8万円に含まれる賃金とは
 日給、時間給、週給を月額に換算したものに、各諸手当等を含めた所定内賃金の額が、8.8万円以上である場合となります。
 ただし、次に掲げる賃金は除きます。
【除外対象】
・臨時に支払われる賃金および1月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)
・時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)
・最低賃金法で参入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)

(※5)学生であっても被保険者となる方
・卒業見込証明書を有する方で、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の方
・休学中の方
・大学の夜間学部および高等学校の夜間等の定時制の課程の方等

2.必要な手続き
令和4年10月から新たに特定適用事業所となる事業所について、必要な準備
(1) 新たに被保険者となる短時間労働者の把握
・短時間労働者で、被保険者となっていない従業員等の労働条件を確認する必要があります。
(2) 従業員への説明
・これまで配偶者の扶養範囲内で労働条件を抑えて働いていた従業員等へ、令和4年10月以降は社会保険の被保険者とあることを説明する必要があります。

3.特定適用事業所の判定
厚生年金保険の被保険者数が、1年間のうち6ヶ月間以上100人を超える場合に該当します。
特定適用事業所に該当した場合は、「該当届」を提出する必要があります。
一方、令和3年10月~令和4年8月に、6ヶ月以上100人を超えたことが確認できた事業所には事務センターから「該当通知書」が送付されるため、事業所からの届出は不要です。

2024年10月には、厚生年金保険の被保険者数が51人以上規模の企業まで拡大されます。
事業主様は、一定の要件に当てはまる従業員のみなさまにお早めに今回の義務化を説明し、働き方の見直しをする必要があります。
会社にとって、従業員にとってどんな働き方が良いのか、しっかり話し合っていきましょう。