就業規則・社内規程の作成、退職金制度の見直し、給与計算 福岡市南区の倉地社会保険労務士事務所

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副業のススメ

皆さまこんにちは。
倉地社労士事務所の森です。

今日ご案内するトピックは、最近弊事務所でご相談が増えている「副業」についてです。

皆さま、「副業」にどのようなイメージを持たれていますか?
・収入を増やすための手段
・本業に支障が出るのでは…
・働きすぎにならない?
・視野を広げられる
等々

2017年に政府が発表した「働き方改革実行計画」の中で、柔軟な働き方を推進した「副業」ですが、当時は副業を容認している企業の割合は、リクルートキャリアの調査によると、わずか28.8%だったようです。
しかし、2022年に公表された日本経済団体連合会が実施した「副業・兼業に関するアンケート調査結果」では、回答企業の53.1%が「自社社員の社外での副業・兼業を認めている」と回答しました。
着実に副業を容認する企業は増えていることが伺えます。

企業にとっては、従業員が副業先で新たなスキルや知識を習得でき、情報や人脈も得られるので、人材の質が向上することでメリットになります。
従業員にとっても、副業先で新しい視点や柔軟な発想ができるようになり、キャリア形成にもつながるとのとです。
副業に対する関心が高い若年層の採用にも、副業制度をアピールすることは有効のようです。

また、厚生労働省は2022年7月に、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改訂しました。
ガイドライン改定のポイントは下記となります。
●企業は従業員に副業を認めているかどうかを、自社ホームページで公表する
●制限する場合はその理由を含めて開示する
●指針に強制力や罰則はない

政府の副業推進に向けたさらなる後押しの動きが見受けられます。

そうは言っても、上記のような副業のメリットは大企業での話ですし、副業を解禁することによって次のようなリスクや不安が考えられます。
●労働時間の管理・把握ができない
●本業に支障が出る
●従業員の長時間労働・過重労働を助長する(健康リスク)
●情報漏洩のリスク
●競業となるリスクや利益相反のリスク

このようなリスクを回避するためには、就業規則で禁止、制限することができる副業について定めておいたり、誓約書をとっておくことも有効と考えられます。
また、労働時間については副業先と通算する必要があり、副業先とのやりとりが発生しますので、この辺りもきちんと定めておきたいところです。
弊事務所では、このような内容でお悩みの企業様からのご相談も受け付けております。
お気軽にお問い合わせください。

最後に。
ある雑誌で大学の教授が次のような内容を掲載していました。
とても興味深かったので、ご紹介したいと思います。

その教授は、「副業は『自社に足りないもの』を発見できるチャンス」と述べていました。
副業する立場の従業員にとって、限られた余暇時間の使い方という観点からすると、副業はあくまでも選択肢の一つ。
単に流行だから副業に手をつけるのではなく、趣味や家庭など自分にとって大切なものを見極めた上で副業の優先順位を決めるべきであろう。
自己実現や自己研鑽といった目的では、大学院での学び直しやボランティア活動が最適ということもあり得る。
自ら深く考えた上で副業を始めるのが理想だ。
また企業は、副業を「今職場に足りないもの」が発見できるチャンスとしてとらえた方がよい。
副業への意志を従業員から示されるということは、今の職場で満たされない何かがその人にあるということ。
収入か、キャリアか、やりがいか、その社員が困っていることを共に考えれば、職場で解決できる問題を発見できるかもしれない。

なるほど!と思いました。
大企業に限らず、「副業」が、企業にとっても従業員とってもウィンウィンとなるような活用の仕方ができれば、生産性も上がっていくのではないでしょうか。