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雇用保険マルチジョブホルダー制度の新設

みなさまこんにちは。
倉地社労士事務所の森です。


今回は、2022年1月1日からスタートする「雇用保険マルチジョブホルダー制度」についてご紹介します。

【雇用保険マルチジョブホルダー制度とは】
◆従来の雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が週所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等の適用要件を満たす場合に適用されます。
 これに対し、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の適用対象者の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。
◆これにより、離職の日以前1年間に11日以上の賃金支払いの基礎となった日数のある完全な月が6ヶ月以上(11日に満たない場合は80時間以上)の勤務実績等があれば、失業給付を受給すること等ができるようになります。
◆失業保険(高年齢求職者給付)は、被保険者であった期間に応じて30日分または50日分の一時金が支払われます。
◆そのほか、育児休業給付金・介護休業給付金・教育訓練給付等も対象になります。
◆適用を受けた事業所を離職した場合も、2つの事業所以外の事業所で就労しており、それ以外の事業所での勤務を合計して適用要件を満たす場合は、所定の手続きを経て、引き続きマルチ高年齢被保険者として適用を受けることになります。
◆本人がハローワークに申出を行った日から被保険者となるため、申出日より前に遡って被保険者となることはできません。 

【雇用保険マルチジョブホルダー制度の適用対象者】
マルチ高年齢被保険者となるには、労働者が以下の要件をすべて満たすことが必要です。加入後の取扱いは通常の雇用保険の被保険者と同様で、任意脱退ができません。
1.複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
2.2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して、1週間の所定労働時間が20時間以上であること
3.2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること


【基本的な手続きの流れ】
マルチ高年齢被保険者としての適用を希望する本人が手続きを行う必要がありますので、事業主のみなさまは、本人からの依頼に基づき、手続きに必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)を行うことになります。これを受けて、本人が適用を受ける2社の必要書類をそろえてハローワークに申し出ます。

【事業主のみなさまへのお願い】
◆マルチジョブホルダーが雇用保険の適用を受けるためには、事業主のみなさまの協力が不可欠です。労働者から手続きに必要な証明を求められた場合は、速やかなご対応をお願いします。
◆マルチジョブホルダーが申出を行ったことを理由として、解雇や雇止め、労働条件の不利益変更など、不利益な取り扱いを行うことは法律上禁じられています。
◆マルチジョブホルダーがマルチ高年齢被保険者となった日から雇用保険料の納付義務が発生します。

施行日は2022年1月1日からです。
実際に手続きをする際や、マルチジョブホルダーからの申出に対応する際に、お困りでしたら、お気軽にお問い合わせください。